Pileggi, Stolper, Boyle, and Stasko, SnapShot: Visualization to propel ice hockey analytics, IEEE TVCG 18(12), 2012, (10.1109/TVCG.2012.263).

概要

アイスホッケーの視覚的分析システムの設計とその評価を報告している。アイスホッケーの試合を可視化する試みはこれまでもあった。この研究はNHLの内部の人や、アイスホッケーの解析サービスを提供する業務に係わるプロを対象に、チームの構成や戦略決定などに資する分析業務を支援することを目的としている。このために、NHL及び、解析者にインタビューを重ね、彼らの業務を分析した上で、視覚的分析ツールを提供することで現状の問題点の解決を目指した。3名の解析者にこのツールを試行してもらい、使い勝手の評価をしている。当初、一部にはこのツールの有効性について懐疑的なものもいたにも係わらず、実際に触ってみると、その分析能力の高さに惹かれ、「この分析をもっと続けたい」や「プレゼンテーションに利用させてもらいたい」など高評価を得ている。

解析者のワークフロー

データの処理
生データ → 前処理
分析
( 探索的分析 → ブレーンストーム → 仮説検証 )+
成果物
(BIツール | プレゼンテーション)

What: データについて

2010-2011年のホッケーのシーズンにおける、ショット。主なデータは以下のとおり。

  • 打った選手のチーム
  • 打った場所(1×1フィートのグリッド)
  • ショットの距離
  • ゴール / 失敗
  • ホーム / アウェイ

Why: システム設定にあたっての考慮点

  1. 場所とゴールまでの距離
    ホッケーの分析者にとって重要であるばかりでなく、地理的表現によって試合の感覚を効果的に伝えるべきだ
  2. カテゴリカルデータ
    アイスホッケーの分析において重要なデータにはカテゴリカルデータが多い
  3. 分析の傾向の多様性
    分析者によって見たいものや、分析戦略が異なる
  4. 特定のショットと一定の条件を見たす複数のショットに関する調査
  5. 分析の中途結果の保存と、分析の再開
  6. 協調的分析活動のサポート
    分析結果を相互に共有する機能が大切
  7. 比較機能
    条件を変えて分析した結果を見比べたい
  8. プレゼンテーション
    ステークホルダーが望む形式で分析結果を提供する必要がある。

How: システム

一年分のデータ対象に累積的に表示する。

(Why-3) を見たすために、三種類のビューを提供する。いずれもアイスリンクに重畳した表示(Why-1: 地理的表現)。
1. ショット図: ゴール手前でのショットとその成否の割合を表示する。(Why-1: ショット地点)
1. 古典的ヒートマップ: 各ショットの特徴量を灰色のヒートマップで表現 (Why-1: ショット地点)
1. 放射状ヒートマップ: 各ショットの特徴量をゴールからの距離に応じた同心円に着色 (Why-1: ショットの距離)

各種カテゴリカルデータにチェックボックスを用意し、それにもとづいてデータをフィルタ(Why-2, Why-4)できる。このフィルタは、ビューを変更しても維持される。

比較のための機能 (Why-7)

Small Multiples

指定したカテゴリに関して変化させた分析結果を一覧できる。たとえば、リンクカテゴリについての Small Multiples を使えば、全米のリンクごとのショットの距離を一覧(Why-7)できる。

SnapShotting

ウェブブラウザを用いて分析するのだが、分析状況がURLに埋め込まれている。ブラウザのタブ機能を利用することで、容易に分析状況を保存できる(Why-5)。また、SnapShot ボタンも提供されている。ウィンドウを併置することで分析結果を比較(Why-7)できる。

分析結果の共有のための機能

SnapShot のURLを送信することで、同僚に分析結果を共有(Why-6)できる。

分析結果のデータをCSV(Why-6)や画像(Why-8)で出力保存できる。

ケーススタディ

3人の分析者にそれぞれ一時間ずつ自由に使ってもらい、ホッケーについて何が分析できるかを中心に観察している。ケーススタディは、遠隔で実施し、先方の画面を録画するとともに、被験者のコメントを記録している。

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