9/14-16 に開催された標記シンポジウムに参加・発表してきました。

第46回の開催となるこのシンポジウムは機械系のシミュレーションを可視化するボリュームレンダリングを主流とする学会です。同じ可視化といっても情報可視化を専門とする私には、馴染のない分野でなにもかもが新鮮でした。

初日はお昼から参加し、ランチョンセミナーに続く技術セッションという企業の新製品披露会のようなイベントを拝見しました。はじめは耳慣れない専門用語が飛び交い「???」だったのですが、徐々にこんなことが理解できました。

  • PIV が流体の計測に用いられる重要な技術らしい

  • 流体実験で煙のように見えているものは、実は油の膜でヘリウムを包みこんだ気泡らしい

  • 油とヘリウムの分量をうまく調整することで空中にうまい具合に浮ばせているらしい

  • 保守のためにガラスの壁に油の膜がくっつかない工夫が重要らしい

  • 油膜の気泡の小ささと分量、そしてカメラの連射機能が重要な性能らしい

ふたつ聞いた特別講演はいずれもすばらしかったです。

  • 合田先生@東大の「エクストリームイメージングでエクストリーム現象の可視化」は、世界最高の連射性能を誇るエクストリームなカメラの設計とそれが明らかにしたエクストリームな現象についての講演でいた。合田先生はもともとは LIGO の重力波天文現象の計測に関わっていたのだそうです。エクストリームなカメラの構造、とくに高速連射性能の部分は興味深かったです。

  • 小野先生@明治の「身体機能の可視化技術と医療応用」では、近赤外線を用いたヘモグロビン濃度の測定技術を用いた血流速度の測定などといった計測技術の開発に始まり、その応用としての痛みの可視化と施術の効果の定量化についての話が面白かったです。人それぞれ痛みというものはありますが、いまのところそれを定量化して比較する方法がありません。講演のなかで痛みというものは脳で感じているもので、過去の研究からそれぞれの痛みという現象が脳のどの領域の興奮なのかがだいたい見えてきたこと、その箇所の血流量を測定することで、少なくとも同一個人の痛みの度合いの比較ができそうなこと、柔道整復師の施術の効果が血流量で見てきたことなどが紹介されました。いずれは、痛みの度合いが定量化できるのかもしれませんし、痛みの部位ごとの柔道整復師の力量も血流量の変化として測定できるようになるのかもしれません。

    痛みとは別に、脳波計測 + Brain-machine interface + Augmented reality という組み合わせで脳卒中のリハビリの治療効果向上という研究も興味深かったです。脳卒中で失われた神経回路を復旧するためには、患者の運動意図、筋肉の動き、間隔フィードバックのみっつを繋げる必要があるのですが、そもそも回路が切れているために場当たりに試みるしかなかったのが現状です。手の痺れの場合、脳波測定により運動意図を検出し、そのときに外骨格グローブで強制的に手を開閉し、手が正常に動作している様子をディスプレイに表示して視覚刺激することでこの連携学習を促進するという方法を実践しておられます。

技術セッションもいろんな分野の発表を聴きました。AI と可視化のセッションでは深層学習と可視化に関する連続チュートリアルがありました。松岡先生@JAMSTECの台風発生予測への深層学習応用の試み、飯塚先生@早稲田大学の深層学習を用いた画像処理のチュートリアル(画像編集 / 超解像度 / モノクロ画像のカラー化 / 画像補完) 、佐賀先生により医療情報の可視化における深層学習の応用も内容が豊富でした。

書いていると大変なことになるので、日頃、よくお目にかかる情報可視化系の研究紹介は省かせていただきます。

でもでも、自分の研究室の発表の宣伝だけは忘れないように

  • 脇田 建: 社会ネットワークの対話的高次元可視化システム開発の歩み

    「ソーシャルデータの可視化」に関するオーガナイズセッションのチュートリアルシリーズとして、三末和男先生@筑波、伊藤正彦先生@(NICT/東大)、伊藤貴之先生@お茶大と一緒に講演しました。

  • 高野 陸: 対話的ネットワーク可視化における移動類似性を用いた頂点集合洗濯手法

  • 田添 康平: マルチプレックスネットワーク可視化手法についての考察

  • 武田 一起: 古典的 MDS に基づいた動的グラフ可視化

  • 坂本 健: グラフの高次元埋め込みによる辺の類似性に基づいた束化手法

来年は7月に京大での開催になるようです。

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